- コラム
EUのEV化における方針転換
3月26日に朝刊各紙がEUが2035年以降もエンジン搭載の新車販売を認める、と報じました。
欧州委員会(EUの執行機関)は2021年に乗用車や小型商用車の新車によるCO2排出量を2035年までにゼロにする規制案を発表、ハイブリッド車(HV)を含むガソリン車の販売を事実上禁止し、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)への促すといった内容でした。
この欧州委員会の提案は2022年10月に欧州委員会、欧州会議、閣僚理事会の三者間で最終合意に達し、2023年2月14日に立法機関である欧州議会で採択されました。
残るは3月7日に予定されていた閣僚理事会(EU各国の閣僚から構成される政策調整機関)での承認だけでしたが、ドイツが「e-fuelのみで走行する内燃機関(ICE)車を含めない限り法案を支持しない」と表明し、風向きが一気に変わる事となりました。
「e-fuel」は再エネ由来の水素を用いた合成燃料の事で、燃焼時にはCO2を排出するが生産の過程でCO2を利用する為、CO2の排出量と吸収量を差し引き実質ゼロになる、というものです。
既存のガソリン車やディーゼル車にも使えるというメリットがありますが、生産コストが非常に高額というデメリットもあります。
なぜドイツがこのe-fuelを強力に推進するかというと、ドイツの自動車メーカーの強い後押しがあります。e-fuelであれば既存のガソリン車やディーゼル車の生産ラインを維持できるためです。
そして、2035年までにCO2排出量をゼロにする規制案に、ドイツだけでなくイタリア、ポーランドも合意しない事を表明、ブルガリアも棄権に回る見込みです。
急展開を見せるEUのEV化ですが、今後日本にどのような影響を与えるか非常に注目されます。