- コラム
国外のEV事情
日本国内のEV事情は、EVカーは増加傾向に対し充電ステーションはEVカーに対する充電器スタンドのカバー率が8%程度(当社調べ)と圧倒的に不足している現状となっています。
では国外ではどうでしょうか。
・中国
中国の電気自動車(EV)保有台数は増加し続けており、2022年3月末時点で約892万基となり、充電器スタンドとのカバー率(EVカー/充電器)は30%強との事です。
日本よりもEV化が進んでいるだけあり、個人用の充電スタンドの設置数も2021年7月時点で約106万基となり日本(約2.1万基)と比べ桁違いの設置数となっています。
要因として、都市部の集合住宅では駐車場に普通充電ポストの整備が進み、駐車スロットごとにコンセントが設置している事もあります。更にここまで広まった一因として、EVブームの前に電動バイクが普及し、そのとき整備されたコンセントがEV向けに流用されているという事が有ります。
・欧州
欧州連合(EU)加入主要国(27ヵ国)の充電ポイント数は全体で37.4万基となり、そのうちフランス、オランダ、ドイツ、イタリア、イギリスでEU加入主要国の充電ポイントの2/3を占めています。
また、ロイター通信によると欧州の電気自動車は現在の330万台から2035年までに1.3億台に増える見通しとの事で、EU内で2021年に販売された新車台数の11台に1台が電気自動車(約120.5万台)という統計も出ており、充電器スタンドとのカバー率(EVカー/充電器)は中国とおなじく30%強となっています。
必要となる充電設備は6,500万基と指針が出ていますが、その内900万基は公共の充電設備となり、計画や認可の問題で大幅に遅れているという指摘もあります。
・欧米
2022年2月、バイデン米国政権は50億ドル分に当たる「EV充電プログラム(National Electric Vehicle Infrastructure(NEVI) Formula Program)」についてのガイダンスを発表しました。
「EV充電プログラム」は全米のEV充電器のネットワークを拡充するため、州政府を対象に支給する助成金制度です。
助成金額は5年間で50億ドルとなっており、2022年度には6億1500万ドルが手当てされています。
バイデン政権は、2030年までに50万基の充電器を設置することを目標としていますが、2022年2月の時点で約11.8万基となり、2021年のEV販売台数は60.8万台に対して約19%のカバー率となっております。また、充電ポート数(複数の充電ポートが設置されている充電器も有り)は約11.5万口となることから、2030年に2,200万台のEVが走行するという前提の下では、さらに10万口以上の充電ポートが必要と試算されています。
総じて言えるのが、「設置台数、設置予定台数は日本と比べ格段に多いが、それ以上にEVカーの普及台数がハイペースな為EV充電器は足りていない」というのが現状です。
欧州ではメルセデスベンツ、フォルクスワーゲンが、欧米ではテスラが、中国ではDongfeng Motor(東風汽車集団)、BYD Auto(比亜迪汽車)が、EV車の生産台数を増加させており、国内外問わずEVインフラの整備が急務となっているのが浮き彫りとなっています。